RE: 朝霧の家|Phase 3:実施設計

RE: 朝霧の家|Phase 3:実施設計

RE: 朝霧の家|Phase 2:基本設計」の続編

実施設計

基本設計が終わると実施設計という段階に入っていきます。私たちIZOでは基本設計を Phase 2、実施設計を Phase 3 と呼んでいます。

基本設計とは、ものすごく大雑把にいうと間取り図程度の簡単な図面などのことで、その建築や空間の在り方を描いた図面だと言えばいいかもしれません。それに対して実施設計は詳細設計とも呼ばれていて、各部の寸法や平面図では壁の厚みの中がどうなっているのかなどがわかるように書かれたものです。

図面の縮尺もこれまでは1/100で書かれていたものを、1/50にスケールをアップさせて書きます。この縮尺は、プロジェクトによって適切なスケールを決めます。建築家によっていろいろ考え方が異なりますが、ぼくの経験上、1/50をベースに書いていくことが多いです。細かく書く必要があれば部分的に拡大するというやり方にしています。例えば有名な安藤忠雄の『住吉の長屋』の図面は1/30で書かれています。原図を写真で見たことがありますが、とても綺麗な手書きの図面です。ぼくも設計の仕事をはじめた頃は手書きでした。今では手書きの図面はほとんどなくなってしまってコンピューターでCADを使って製図します。このプロジェクトもCADで図面を書きました。
CADの場合は手書きに比べて小さい文字でも読めるということや、施工業者にデータで渡すということから、ある程度スケールが小さいものでも対応できると考えていますので、できるだけ自分に見慣れたスケール感で書いておきたいなというのもあります。1/30ももちろんいいのですが、定規を当ててもわかりにくいということもあり、計算しやすい1/50を使うことが多いのです。

こうした詳細図面を書く実施設計業務とは、基本設計に基づき、工事開始可能な情報を記載する設計図書を作成するまでの過程の業務を言います。工事施工者によって見積が可能で、施工用に活用できることが必要となり、実際、建築設計・監理業務全体の約半分のワーク量となります。また、新築や増築などで必要な場合は建築確認申請をクライアントに代わって行なう業務もこの Phase 3 の一部に含まれます。


さて、一般的な話が長くなりましたが、このプロジェクトの話に戻ります。

この実施設計に入る少し前くらいから照明デザイナーと照明計画の打合せをはじめました。
「RE: 朝霧の家」ではAZU設計工房の田村利夫さんにお願いしました。田村さんとは1995年のプロジェクト以来、多くのプロジェクトでお願いしています。

ぼくの場合は、プロジェクトの主旨を説明して、その上で相応しい照明の在り方を照明デザイナーよりご提案頂きます。
その提案がこちらの考えているものと方向性の一致や全体のデザインとの調和などが問題ないと考えるまで打合せを繰り返し、見積と必要な設計図面の作成をお願いします。

このプロジェクトでお願いしたのは、主にふたつでした。
ひとつは、球の種類をできるだけ揃えて欲しいということ。もうひとつは、天井には照明器具をつけないで欲しいということでした。

天井面には照明器具がついているものですが、住宅では天井になにもつけたくないというのがぼくの考え方です。
ぼくのリクエストに見事に応えていただきました。
この照明についての考え方などは、また別のストーリーでお話ししたいと思います。

当プロジェクトでは全面的に手を入れるというリノベーションとなりましたので、コンクリートの躯体を残して内装のすべてを解体することになります。そうなると、意匠性や使い勝手の改善だけでなく、基本性能のアップグレードも行なう必要がでてきます。特に鉄筋コンクリート造の建物なので、断熱は必要だと考えました。柱や梁形が外部に出ている形状であることなどから内断熱で計画することにしました。

そうした内容を実施設計に盛り込み、それを元に施工業者が工事見積書を作成し、金額を調整後、工事契約を交わすことになりました。

以上で、実施設計を含む設計業務が終了し、いよいよ着工となります。

次回は「Phase 4:工事監理」です。