RE: 朝霧の家|Phase 2:基本設計

RE: 朝霧の家|Phase 1:現地調査」の続編

プランニング 第1案

現地調査とヒアリングを元につぎのようなプランニングを提案しました。

  • 玄関を北側に移設
  • 駐車場の確保
  • 2階を生活のメインの場とし、寝室・浴室・便所を1階とする

和室にあった仏壇も2階に上げ、扉をつけて必要な時だけ開けられるように提案しました。

現地を訪れたとき、車が北側にそのまま置かれていたのが気になっていました。また玄関は堂々とありたいという気持ちもありました。ゆっくりとアプローチをとって入りたい。
そして、この提案のメインはリビングを2階に上げたことです。北側に向けて大きな窓にして、公園を見下ろしながら朝食を食べるというイメージです。
木造と違って鉄筋コンクリート構造であるこの建物は2階の床もコンクリート製です。階段部分は大梁と小梁に囲まれて床に穴をあけていて、そこに階段がついている構造になっています。
なので、階段位置を変更させるのがむつかしい。2階にリビング・ダイニング・キッチンを持ってきて大きな広い部屋にするというイメージがありましたが、真ん中に階段があると部屋が分断されてしまうなあと思っていました。
なので、階段を仕切ることなく部屋の真ん中に置いたままにしてしまおうと考えました。LDKの中に階段も入っているという状態です。

この提案図面を元に打合せを行ないました。
大きな構成は了解を得ました。
が、いくつかの修正を求められました。

主な修正内容は、寝室を広くしたいことと、台所からのゴミを一旦ベランダに置けるようにリビングとダイニングキッチンを入れ替えたい、という2点でした。また、できれば屋上にも登りたいというご主人のご要望もありました。

すぐに手を加えて、再び新しい図面を提出しました。


第2案

修正した図面がこれです。

寝室を広げたために、自家用車の頭が少し出てしまうことが心配されましたが、元々屋外に駐車していたので、特に問題はないということでした。

寝室を広げるために洗面室と浴室を寝室の中にいれてみたのですが、使い勝手が懸念されました。

新たなアディアとして、屋上に上がれるようにするのに加えて、寝室から2階のバルコニーへも登れるような階段をつけてみました。このアイディアの出発点は、二方向避難を確保できないかという話をヒントにしたのと、洗濯物を直接2階のバルコニーに運べなるようにするためでした。

打合せの末、屋上への階段はやめることになり、最終案へ向けて進みます。


最終案

第2案から最終案に至るまでに細かな案が出てきましたが、図面上の大きな変化はそれほどありませんでしたので、スムースに進んだと思います。

これが最終案です。

 

第2案と比較すると、1階の寝室内にあった洗面室と浴室を廊下部分からアクセスできるようにしています。
2階は、階段側の収納をなくしてリビングをより広くしました。西側の窓をなくして、南北からのみの採光と通風にしました。

以上で、基本設計が終了し、次のフェーズである実施設計へと入っていきます。

次回は「Phase 3:実施設計」です。

RE: 朝霧の家|Phase 1:現地調査

はじまり《現地調査》

このプロジェクトは、自分たちが高齢者となる前に快適に暮らすことのできるように家を改修したいという要望からはじまりました。

具体的には、階段に手摺をつけたい、風呂をやりかえたい、部屋を美装したい、という程度のものでした。

実際に拝見させて頂くこととなり、後日現地を訪れました。

すると、手摺をつけて美装するだけでは快適さを得られないということがわかりました。
上の写真が改修前の外観です。鉄筋コンクリート造のラーメン構造(柱梁による構造)であることがすぐにわかります。一昔前の派出所のように柱と梁が外部に出てきている構造です。後日この家の図面と構造計算書をお借りするのですが、それを見るとやはり単純ラーメン構造によるものでした。

上の図が改修前の図面です。実際は図面を元にこちらで作成した資料です。

敷地条件(立地条件)としては、東側と南側には隣家がぎりぎりまで接しています。西側と北側は道路に接しています。北側は道路の向こうは公園になっています。南側に隣家が迫っているために南面採光が確保しづらくなっています。

家の中に入ってみます。

街中でよく見かける風景ですが、玄関が道路ぎりぎりについています。図面でもわかると思いますが、扉を開けると敷地を越境してしまう位置についています。1階の床の高さが道路面から50cm程度高くなっていますので、その高さまで上がるためには、道路境界ぎりぎりのところでまず1段上がり、玄関扉を開けてもう1段、上がり框で床レベルまで上がることとなっています。

生活のメインの場は、1階のDK(ダイニングキッチン)とL(リビング)の部分です。特にこのLは南側に出っ張った西側からしか採光がありません。その唯一の窓は磨りガラス状の型板ガラスではめ殺し窓となっているために光もほんのりとしか入ってきませんし、窓が開かないので風が入ってきません。薄暗くてなんとなくじめじめした場所となっていました。

DKもキッチン流し台と吊り戸棚との隙間からと、隣家が迫る南側の窓となり、上写真のようにその窓に重なって物が置かれているために、やはり採光として十分なものとは言えない状態でした。Lの部屋もDKも昼間から照明をつけないと薄暗い環境で、風通しもよくないことがわかります。

階段は、古い住宅が大抵そうであるように、急で上り下りがちょっと辛い。特に急勾配の階段の場合は、上りよりも下りがむつかしいものです。そんな急な階段に手摺もついていませんでした。

2階には小部屋が多く、実際は寝室として使われている部分を除けば、ほとんど納戸として使われていました。2階の西側に窓が二つありますが西日が強いために、居場所としてはなかなか使えないということでした。

2階は西日の問題はあるものの、北側の公園に向かって広がる眺めは、その景色というもの以上に空が広がっているという印象がとても気持ちのいいものだと感じました。公園なので将来に渡って何も建物が建たないということが保証されています。

以上が現地を確認した時の内容です。

これらの条件から、この住宅に最も相応しい解を提案することとなります。

次回は、「Phase 2:基本設計」です。